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小児科診療の停止について

糖尿病・内分泌内科の診療内容

特色

昭和46年に専門外来を開設、昭和62年より糖尿病センターとして特に糖尿病の診断・治療・合併症管理・教育指導について病診連携、病病連携を重視し対応しています。糖尿病学において著名な堀田饒 名古屋大学名誉教授(元国際糖尿病連合IDF副会長)が平成13年4月より平成23年3月まで当院院長(現名誉院長)を務められ患者の診断・治療のみならず、スタッフの指導にも精力的に活動されました。現在は中島部長を中心に、単に血糖管理を行うだけでなく、患者の自己実現に向けた糖尿病の自己管理を目指して、対話を重視した患者個々人の問題点に即した治療を目指しています。病院全体に糖尿病療養指導士が約15人ほど活動しており、糖尿病サポートチーム(DST)で患者の療養指導に力を入れています。特に日本糖尿病協会が積極的に普及推進しているカンバセーションマップTMを積極的に取り入れ、中部地方での普及活動を推進しています。


医師・看護師・薬剤師・栄養士によるチーム医療

現在、治療継続中の患者は約3500名であり、常勤医師5名に加え、4名の看護師と5名の管理栄養士で、一日4診察室で週20診および肥満治療専門外来を糖尿病センターとして運営しています。また試験的な試みとして糖尿病オンライン診療外来も始めています。内分泌性疾患についても甲状腺の専門医師を中心に受け入れており、各種内分泌系の疾患も対応しています。
糖尿病・内分泌疾患専門病棟(20床)を有し、常時、医師・看護師・薬剤師・栄養士によるチーム医療を行っています。患者さんにより、眼科医師、形成外科医師、理学療法士、臨床心理士も教育指導に加わる体制をとっています。外来、入院患者対象の糖尿病教室は月~金の週5日を1クールとして、医師・看護師・薬剤師・栄養士が「糖尿病とは」「急性合併症」「足のケア」「シックデイ対策」「生活指導」「運動療法」「薬物指導」「栄養指導」を行っています。

パス入院は、「1~2週間の糖尿病治療、血糖コントロール教育パス入院」に加えて、「インスリン自己注射導入入院」などのコースを開設し、患者さんのニーズに細かく対応しています。


政策医療研究、臨床研究、臨床治験

多くの政策医療研究、臨床研究、臨床治験を遂行しています。特に別記(認定・研究等)の労災疾病等13分野医学研究;疾病と就労の両立・職場復帰支援(糖尿病)(特任ディレクター;堀田 饒、主任研究者;中島英太郎)では他の労災病院と共同で、糖尿病治療と就労の両立のためのガイドライン作成や調査、そのモデル事業に取り組み、その結実として2022年4月より糖尿病での「療養・就労両立支援指導料」請求可能となりました。また糖尿病関連ゲノム解析・バイオマーカー探索研究(中島英太郎)では、名古屋大学・国立国際医療センター・愛知医科大学・慶應義塾大学・名古屋学芸大学等と共同研究を行ってきました。Nature genetics誌5編(共著者)また別掲のように多くの成果が発表されています。さらに国内学会はもちろんの事、国際学会での発表も積極的に行っています。


医療連携

糖尿病慢性合併症対策にも当院の他科専門医と綿密に連携し、幅広く対応しています。糖尿病性網膜症に対しては、当院眼科にて硝子体除去術、光凝固術を、糖尿病性腎症に対しては、腎臓内科と協力のもと厳しい血圧管理と減塩食にて治療を行い、必要に応じ透析導入をお願いしています。糖尿病性神経障害に対しても、神経内科と共に、C64音叉計、神経伝導速度検査計、瞳孔計などを駆使して早期発見、早期治療を行っています。心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・末梢性動脈硬化症などに対して、頚動脈エコー・脈派検査にて早期発見に努めています。心病変には循環器科にて心臓超音波検査、トレッドミル負荷検査・心筋シンチ検査・心臓CT検査・心臓カテーテル検査などを行い治療計画を立て対応しています。脳血管障害に対しては、頭部MR、頭部CT検査、脳血流シンチ検査などにより早期発見を行っています。足病変に対しては形成外科と協力して切断等行わずに足保存を念頭に治療しています。妊娠希望者・妊婦糖尿病患者さんには産婦人科と協力して計画妊娠・出産を行っています。地元医師会とは定期的に症例検討会を行い、病診、病病連携を緊密に行っています。


認定・研究等

認定内容

  • 日本糖尿病学会認定教育施設
  • 日本肥満学会認定肥満症専門病院
  • 日本動脈硬化学会認定教育施設
  • 臨床研修指定病院

研究等

研究等(詳細は「臨床研修」にて掲載しております)


  • カンバセーションマップTM
    カンバセーションマップTMは、すごろくのような「会話のための地図」を使いながら患者さん同士のグループでの対話を通して、患者さんの治療意欲を高める事を目的とした、IDF推奨で世界共通に使用されている新しい糖尿病療養指導ツールです。当院ではトレーニングを受けた協会認定ファシリテーター(進行役)が週一回の運営を行っておりますので是非、患者の皆様に参加して頂きたいと思います。現在年一回のファシリテーター養成講習会を開催しています。
  • 連続血糖測定器(CGMS)
    連続血糖測定器(CGMS;continuous glucose monitoring system )は、近年厚労省より保険承認された新しい検査機器で、5分に一回、一日288回の血糖値を連続的に測定・記録可能な機器です。1型糖尿病患者さん、インスリンポンプ(CSII)使用中の患者さんあるいは夜間などの低血糖の可能性のある内服患者さん、あるいは食後に非常に高血糖が疑われる患者さんなどには非常に有用な機器です。現在3台を運用中です。
  • 持続皮下インスリン注入療法(CSII: continuous subcutaneous insulin infusion)
    CSIIは、インスリンポンプを用いて24 時間持続的にプログラムに従ってインスリンを皮下に注入する方法で、超速効型インスリンを用います。CSIIは断続的なインスリン皮下注射療法では血糖コントロール困難な患者さん、特に内因性インスリンの枯渇した1型糖尿病患者さんで用いられますが、使用できる施設は限られています。2型糖尿病さんでも使用されます。食後高血糖、夜間などの低血糖の頻度が高いブリットル型と言われる血糖不安定な患者さんに非常に有用な機器です。現在15台程度を運用中です。 またカーボカウント法との併用も有用です。さらにCSII+CGMS機能が併さった機器、SAP(Sensor Augmented Pump センサー補助型インスリンポンプ)を使用している患者さんもいらっしゃいます。

主な疾患

疾患名 疾患の簡易解説
1型糖尿病 膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞の自己免疫機序による破壊により、絶対的なインスリン欠乏になる糖尿病です。発症のタイプにより、急性発症、劇症、緩徐進行に分類されます。比較的若年での発症が多く、日本人糖尿病患者の数%と言われています。急性発症、劇症タイプはすぐにインスリン自己注射療法の適応となりますが、緩徐進行型は進行がゆっくりですぐのインスリン治療を要しない場合があります。
2型糖尿病 日本人糖尿病患者の95%以上とも言われている比較的成人に発症するタイプの糖尿病です。ただ最近は肥満傾向の10代の若年発症も増えています。必ずしも肥満を伴うわけではありませんが、遺伝的体質に過食、運動不足、高齢などの生活習慣の乱れが加わることで発症します。インスリン分泌不全や抵抗性により相対的に必要なインスリン作用が得られず高血糖となります。食事と運動療法から内服薬やインスリン注射にて治療します。
妊娠糖尿病 もともとは糖尿病と言われたことがない方が妊娠に伴って高血糖を来すと妊娠糖尿病と診断されます。特に胎児生育への影響が大きい妊娠初期に厳格な血糖管理を必要とする場合があり、早期からの受診が必要です。妊娠中は継続的に食前食後の自己測定を行い必要に応じインスリン自己注射療法を始めていただきます。出産後多くの方は健常の血糖値に速やかに改善しますが、将来糖尿病になる可能性は高いです。
高度肥満症 日本肥満学会ではBMI(Body Mass Index)25以上の方を肥満と定義し、さらに膝痛・股関節痛・腰痛を伴ったり糖尿病や脂質異常症など慢性疾患の合併がある場合は、治療の対象である病気として「肥満症」としています。治療は栄養と運動療法の指導を中心に毎日の体重測定と記録をつけることから始め、多くの場合は各種の薬物療法や超低カロリー療法を追加して行います。高度肥満症の場合はさらには胃の縮小手術も行われます。
脂質異常症 一般に血清悪玉コレステロール値が140 mg/dL以上は高コレステロール血症、血清トリグリセリド値150 mg/dL以上は高中性脂肪血症となります。動脈硬化性疾患の予防のための各種ガイドラインでは、個々の患者さんの併発症や病状、年齢などによりその目標となる数値は異なります。比較的効果的な薬物が多く開発されており薬物治療にて基準値内に達成可能です。脂質異常症の治療により脳卒中や心筋梗塞などの発症抑制が明らかとなっています。
痛風・高尿酸血症 血清尿酸値7.0 mg/dL以上は高尿酸血症となります。尿酸値が高いだけでは自覚症状はありませんが、長期間の高尿酸血症により関節・足先などに結晶となった尿酸がたまり炎症が生じ、激痛の痛風発作が起こります。 また腎臓結石や尿管結石の原因となり、背部などに激痛を生じます。尿酸の生成抑制薬や尿への排泄促進薬で治療を行います。食事療法としてプリン体の摂取制限が必要となります。
骨粗鬆症 骨粗鬆症とは、骨の代謝バランスが崩れ、骨形成よりも骨破壊が上回る状態が続き、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。日本には約1000万人以上の患者さんがいると推定され、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。骨折としては、脊椎の圧迫骨折、大腿骨頸部骨折、手首や上腕骨骨折などが生じます。一旦骨折が生じますと患者さんの生活の質を著しく悪化させるため予防が重要で内服薬や注射薬などを使用します。
バセドウ氏病 自己免疫異常による甲状腺機能亢進症です。自己免疫疾患であり比較的女性に多く体質が影響する部分もあり、しばしば1型糖尿病と同時に見つかります。甲状腺に対する刺激抗体により血中甲状腺ホルモン(fT3, fT4)値が上昇し、動悸、発汗、イライラ感、下痢、体重減少などの症状が出現します。治療としては、まず内服薬が多くで選択されますが、改善が不十分の場合は手術療法や放射性ヨウ素内用療法が行われます。
甲状腺機能低下症(橋本病) 原発性甲状腺機能低下症で最も多いのは慢性甲状腺炎(橋本病)です。橋本病は自己免疫疾患の一つで、主な症状は甲状腺腫大です。血中甲状腺ホルモン(fT3, fT4値)の低下と甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の上昇、甲状腺に対する自己抗体が陽性となることで診断されます。血中甲状腺ホルモン値が低下するため、徐脈、心肥大、うつ状態、筋力低下、脱毛、皮膚乾燥、過多月経、低体温などの症状がみとめられます。甲状腺ホルモン製剤の内服で補充療法を行います。
原発性アルドステロン症 副腎からアルドステロンが自律的に過剰分泌される病気です。高血圧を生じますが、高血圧症の患者さんの5%程度が原発性アルドステロン症と推定されています。副腎腫瘍や過形成からのアルドステロン過剰分泌が原因となります。副腎腫瘍が原因の場合は手術治療が選択されますが、過形成の場合は手術治療の対象とならず、アルドステロン拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)による治療を行います。

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